ご挨拶
第32回 日本小児突然死予防医学会 学術集会
会長 小谷 泰一
三重大学大学院医学系研究科 法医法科学分野
このたび、ここ三重の地で10年ぶり2回目となる本学術集会を開催できますことを、心より感謝申し上げます。
三重大会では、本学会として初めて「子どもの自殺予防」をテーマにしました。子どもの数が少なくなっている一方で、小中高生の自殺が増えている現代において、決して避けて通れない課題です。「自殺の多くは多様かつ複合的な原因を有している」(厚生労働省)とされていますが、これは私たちが探求してきたSUIDやSIDSの発症機序の複雑さとも重なります。これまで乳幼児突然死に向き合ってきた会員の皆様の叡智を、このテーマにも活かしていただければと願っております。
私は、これまでの「安全な睡眠環境」の探求に加え、「養育環境」に向き合うことも、子どもの突然死を防ぐための医学的研究対象になると考えています。そして、出会った子どもたちの「つないだ手を離さない」ように寄り添い続けることが、かけがえのない命を守ることに繋がると感じています。そこで本大会では、「養育環境」の基盤となる『子育て・愛着』『性』『不登校・いじめ』について、第一人者である杉山登志郎先生、上野千穂先生、松浦直己先生にご講演をいただきます。また、現場感覚を大切にした各シンポジウムでの対話を通じ、予防につながる新たな気づきが生まれることを期待しています。
なお、もう一つの試みとして、ご講演を「三重県CDRモデル事業 県民公開講座」として開催いたします。日頃から子どもたちを温かく見守られている地域の方々にもご参加いただき、本学会のすそ野が広がるきっかけとなれば幸いです。
今回の大会の背景には、多職種が対話を重ねてきた三重県CDRでの交流があり、私の大きな支えとなりました。その文化を育み牽引し、実行委員長を快く引き受けてくださった梅本正和先生、そして事務局を担当してくれている野澤葉月さん、三重県CDR事務局の皆さまをはじめ、すべての関係者の方々に、この場を借りて深く御礼申し上げます。