三重大学、Amazonビジネスにおける購買プロセスの改善

本記事では、アマゾンジャパン合同会社のAmazonビジネス担当者、三重大学の調達室長及び調達管理DX担当者が語る、財務の新時代に向けた課題解決と未来への展望を紹介します。

三重大学では、事務DX推進の一環として、購買プロセスにAmazonビジネスを導入しています。

導入の背景には、教職員による立替精算の煩雑さや、月初に集中する請求処理の負担など、日常的に積み重なる課題がありました。
こうした課題に対し、本学とアマゾンジャパン合同会社は「協働による改善」という形で取り組みを進化し、如何に進めてきたかについてご覧ください。

◆対話者

三重大学 財務部 契約チーム 調達室長 池田 真樹
(兼 生成AI活用検証イニチアチブ/業務運営DX作業部会エキスパート部会員)
三重大学 財務部 調達管理DX担当 係長 櫻井 勇貴/ 主任 中畑 友太

アマゾンジャパン合同会社 Amazonビジネス事業本部
パブリックセクター営業本部文教営業部 アカウントエグゼクティブ 青木 雄 氏

◆ 背景 ― 現場の声から始まったAmazonビジネス導入

Q:Amazonビジネス導入のきっかけを教えてください。

三重大学
 導入の背景には、立替払い処理の煩雑さがありました。
 教職員が個人向けAmazonで備品等を購入し、購入依頼システムへ入力後、紙で立替伝票を処理するフローが非常に手間のかかるものでした。

 実際、立替購入の約7割が個人向けAmazonによるものでした。
「業務負荷を減らしたい」「立替処理を電子化したい」という声も多く、試験運用を経て全学展開に至りました。

Amazon(青木氏)
 大学の購買業務は、一般企業とは異なる特有の複雑さがあります。教育・研究・管理と複数の部署が関わり、科研費、運営費交付金、寄付金など財源も多岐にわたります。特に年度末の3月には予算執行の集中により、教職員の皆さんの業務負荷が高まる傾向があります。

 今回の取り組みで特に印象的だったのは、「既存業務のデジタル化」ではなく、「業務プロセス全体の再設計」から着手されたアプローチです。単にシステムを導入するのではなく、根本から業務を見直し、本当に必要な作業は何かを徹底的に検証されました。何より、現場で実際に作業される教職員の方々の声を丁寧に聞き、それを基に導入を進められた点が、この成功の重要な要因だったと感じています。

◆ DXに効果的なツール(RPA、Power Query等) × Amazonビジネスがもたらした自動化の波

Q:電子購買システム化によって大きく変わった部分は?

三重大学
 内製による電子購買システムの導入により、最も大きく変化したのは「伝票処理業務」です。

 従来、注文者(教職員)は財務会計システムへの購入依頼入力に加え、購入依頼書などの書類提出が必要でしたが、現在ではこれらの手続きが不要となりました。教職員による手続きは、検収済みの納品書を提出するだけで完了するため、煩雑だった事務作業が大幅に削減され、業務負担の軽減につながっています。

 一方、会計担当者側では、Amazonビジネスの各種データ(購買データや請求書データ等)を活用し、RPAを最大限に活かせる伝票処理フローを整備することで、支払伝票処理の効率化と業務負担の軽減を実現しています。

 このように、利用者・会計担当者双方にとって業務効率化と負担軽減の効果が得られており、電子購買システム化を実現したことは大学全体に大きな成果をもたらしています。

Amazon(青木氏)
 近年、多くの大学で「RPA(ロボットによる業務自動化)」への関心が高まっています。今回の取り組みの特徴は、単にロボットを導入するだけでなく、Amazonビジネスの購買データと組み合わせることで、「発注から支払いまでの一連の流れ」を統合的に効率化された点です。

 「購買のデジタル化」と「業務自動化」を同時に進めるこのようなアプローチは、教育機関における業務効率化の一つの事例として、他の機関の皆様にも参考にしていただける部分があるのではないかと考えています。

◆ 成果が生む意識変革 ― DXが「自分ごと」になる瞬間

Q:学内教職員に与える影響は?

三重大学
 電子購買システム化と、DXに効果的なツール(RPAおよびPower Query等)の活用により、2024年度には教職員による会計システムへの入力事務作業750時間以上、および購入依頼書の印刷9,000枚以上の削減を達成しました。

 これにより、教職員の作業負荷は大幅に軽減され、業務の効率化とペーパーレス化が実感できる形で進展しています。

 こうした目に見える成果は、「大学運営業務においてもDXは夢物語ではない」という確かな手応えとなり、学内全体の意識改革にもつながっています。何より、職員自らが「もっと他にも改善できることがあるのではないか」「RPAで自動化できるのではないか」と積極的に提案するなど、改革や学びの連鎖に繋がっててくれるようになったことが大きな変化です。

 電子購買化とRPAの連携による業務改善は、教職員の働き方に直接的かつ前向きなインパクトを与えており、この取り組みは2025年5月に三重大学学長賞を受賞するなど、大学全体でのDX推進に弾みをつける結果となっています。

Amazon(青木氏)
 今回の取り組みは、学内での成果に留まらず、業界全体への知見共有という観点でも大変意義深いものとなっています。教育機関のDX推進における貴重な事例として、日本の高等教育全体の発展に寄与する可能性を感じております。

 私たちは、お客様との協働を通じて得られた知見を、業界全体の発展のために適切な形で共有していくことが重要だと考えています。今後も教育機関の皆様と共に、日本の教育DXの発展に貢献できるよう努めてまいります。

◆ Amazonビジネスにおける改善の道のり

Q:Amazonビジネスと協働で実現した改善とは?

三重大学
 青木様にAmazonビジネス運用上の課題として共有していた内容について、2025年10月に「注文情報の一括アップロード」機能を新たに実装していただきました。

 本学では、注文情報内の任意フィールドに予算選択項目を設定していますが、当初はその登録作業を手作業とRPAで対応しており、手間や時間がかっていましたが、「注文情報の一括アップロード」機能の活用により、Amazonビジネスの任意フィールドを使った運用がより効率的になりました。

 こうした改善が継続的に行われることで、業務効率化が日々進んでいます。

Amazon(青木氏)
 いただいたご要望は、教育機関特有の課題を的確に捉えたものでした。この機能は全国の大学や自治体でも共通して必要とされるものと判断し、開発チームとして取り組むことを決定いたしました。お客様からの貴重なフィードバックは、常に私たちのサービス向上の重要な指針となっています。

◆ Amazonビジネスにおける改善の道コスト削減から次の創造へ ― DXの第二フェーズ

Q:今後の展望は?

三重大学
 業務効率化で生まれた時間は、より戦略的・創造的な業務に使いたいと考えています。

 大学本来の業務である教育・研究・地域貢献に対して、業務運営の観点から支援できるようにしていきたいです。

 また、今まで当たり前だと思っていたことをやらなくて済むようになると、周囲も含めて意識が変わってくる。 “もっとできることがあるのでは”という考えが生まれてきています。

 このほか、これらの実績は、業務改革マインドを醸成するための「業務改革マインドセット勉強会」(デザイン思考、アジャイルなどの理論に基づく学びを体系的に開発・実施)、全学的な「Power Query勉強会(IR機能の強化に向けたタスクフォース成果報告会記事)」の実施、「事務DXシンポジウム」に繋がっています。

 個人に任せる学びではなく、組織的に体系的な学びを整えることが、変化の激しい今の時代に重要と考えており、個々の学びや業務改革を実施する際の支援を行っていきます。

 本学のDXに関する取り組みに関しては、令和3年度から令和7年度にかけて複数の国立大学法人の他、研究機関、県立大学や市役所、企業など69件の視察受入・情報交換等を実施するなど、他機関からも多くの問い合わせがあるところです。

 私たちの取り組みに多くの教育機関や自治体の方々が関心を寄せていただいています。実際に68件もの視察や情報交換をさせていただいており、引き続き、新たなDXのフェーズとして事務部門からも発信していきたいと考えています。

Amazon(青木氏)
 今回の取り組みを通じて特に重要だと感じるのは、「時間をどう使うか」という根本的な価値観の転換です。従来の「いかに早く事務処理を終わらせるか」から、「削減した時間で学生や地域にどんな価値を提供できるか」という発想への転換。これこそが、これからの大学DXが目指すべき本質だと考えています。

 「削減した時間をどう活かすか」、「業務を改革するマインド」が、これからの大学DXの本質だと私たちも考えており、引き続き、協働して参りたいと思います。単なる効率化に留まらず、生み出された時間を教育・研究・地域貢献という大学本来の使命により多く充てられるよう、継続的な改善とイノベーションを共に追求してまいります。

 このような取り組みから得られた知見が、日本の高等教育全体の質向上に寄与できるよう、教育機関の皆様との長期的な協力関係を大切にしていきたいと考えております。

◆参考(三重大学事務DXシンポジウム)

事務DXシンポジウムを参照いただく場合は、下記画像をクリックください。

◆参考(業務改革マインドセット勉強会)

業務改革マインドセット勉強会は、体系的な連続講座となっています。
本学のDX推進に資するそのマインドの醸成についてお知らせしていますので、是非、ご覧ください。
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 (本取り組みにご興味がある場合は、必要に応じて本学へ「お問い合わせ」ください)